つみほ スレスレなるままに

現実と非現実の境目をふらふらと往き来するかのような日常の記録

これぞまさしく生活の知恵、橋板が外れて橋を守る〜上津屋橋(流れ橋)

流されても流されても〜♪

京都八幡市に流れる木津川に架かる上津屋橋は別称を流れ橋といいます。

橋脚の上に差し渡された橋板は、ワイヤーで固定されているのみですが、人が通るぶんには十分な強度があります。

実際に歩いてみると、橋板のガタや撓みが足裏に伝わってきて不思議な感覚ですが、だからといって不安定感や怖さはありません。川床に橋脚を立て、その上に橋板を通している木橋なので、吊り橋のような揺れや高さがないぶん安心感があります。

橋幅は普通四輪が漸く一台通れるくらいの幅ですが、当然のことながらクルマは通れず、歩行者専用です。自転車の人も、ここは降りて押して渡ります。

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流れ橋は自転車は降りて渡る

流れ橋の由来は、木津川が溢れると橋板が浮き外れて流れていきます。そうすることで橋脚や橋に架かる水の抵抗を減らし、橋自体の損壊を防いでいるようです。流れてしまった橋板は後日回収し、再び流れ橋の橋脚に結わえられるという寸法です。

大雨の度に橋が流されて、長期間橋が渡れない、利用できないといったことが昔はよくあったと聞きます。生活に密着した橋が渡れないということは、川を渡るために舟を出したり歩いて渡ったりと一般の生活者には難しい面もあったでしょう。

それを流れ橋はこんな形で、完全解決ではないかもしれないけど、考え得る限りムダの少ない、省力化と効率化を実現した、その発想に脱帽です。

 

さてこの流れ橋、橋のたもとには茶が植えられていました(葉の様子から、たぶん茶だと思います)。

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流れ橋のたもとに広がる茶畑

茶畑と言えば、山の斜面に広がっているイメージですが、こんなところに植えられているのは川が運んできた川砂の水捌けの良さを活用したものでしょうか。

流れ橋を挟んでのこちら側だけでなく、川向こうの対岸沿いにも同じような茶畑が広がっていますので、思っているよりかなり広い茶畑なのかもしれません。

茶畑と言えば、京都には宇治茶が有名ですが、ここ流れ橋のある木津川河岸に広がる茶畑は宇治茶と何らか関係があるのでしょうか。

「お茶の京都」さんのホームページに、水辺で栽培される茶に関する記事がありました。これによると、水辺で栽培される茶は「浜茶」といい、山間部で栽培される「山茶」と区別されるのだとか。

浜茶は山茶より緑みが強く抹茶の原料になるそうで、特に流れ橋近辺で栽培されているのは「てん茶」と呼ばれる高級品種のようです。

因みに花粉症に効くと言われる「甜茶」とは、読み音は同じですが全く別ものです。(笑)。

なお木津川が宇治川と合流している背割堤(せわりてい)の辺りは、桜の名所として知られているそうです。

また、この流れ橋のある京都府八幡市には、松花堂弁当の名で知られる松花堂庭園があります。

エジソンが白熱電球に使用したのは、ここの竹だったとか、そんな噂もちらほら。

ただ松花堂弁当は吉兆の創業者が考案した弁当で、松花堂庭園を眺めながら食べられるお手軽な会席料理というのがコンセプト。

決して松花堂庭園が発祥の地というわけではないようです(私を含めて勘違いしてる人は多いような気がします)。