つみほ スレスレなるままに

現実と非現実の境目をふらふらと往き来するかのような日常の記録

京都・夏の風物詩〜嵐山鵜飼は渡月橋の傍ら、奇しくも満月の下での観覧となりました

午前中に用事があったので、まさかの午後出発となりましたが、間もなく開催期間が終了してしまう京都の鵜飼を見に出掛けました。

鵜飼と言えば長良川、京都の鵜飼と言えば宇治川の鵜飼が有名で、嵐山の鵜飼というのはトンと聞いたことがなかったのですが、渡月橋の傍らから出船しています。

渡月橋とはまた京都らしい美しいネーミングだな、と思ったのはいつだったか、名探偵コナンの映画「から紅の恋歌(からくれないのらぶれたー)」で知ったのが実は初でした。

いや、なんとなく聞いたことはあったと思うのですが、京都の嵐山にあるとか、桂川に架かっているとか、そういう細かいところまで知った(調べた)のはその時が初めてだったと思います。

何しろ渡月橋というネーミングから、現在のクルマが行き交う道路橋なんて全く想像できませんでした。どこか小さいせせらぎの小川に、ちんまりと佇む風情のある橋を思い浮かべていました(汗)。。

 

さて、京都の鵜飼を見に行くと聞いて嵐山鵜飼を思い浮かべなかった私は、ふつうに「京都 鵜飼」でナビ検索しました。案の定表示された結果は宇治川の鵜飼、でも息子は違うと言います。カミさんが場所の地図を送ってくれて初めて、嵐山鵜飼というのがあることを知ったような訳です。

実は渡月橋は以前、息子が写真を撮りに行きたいというので出掛けたことがありました。そのときに息子が撮った写真は審査員の好評価を得たようですが、ほんの僅かな差で次点となったらしいのです。

今回、京都に鵜飼を見に行くに当たって行き先を確認したらその渡月橋の近くだということで、鵜飼の後、前回のリベンジを果たすんだと息子は息巻いていました(汗)。。

 

さて、この嵐山鵜飼ですが、長良川鵜飼とは異なり予約ができません。

もちろん京都の宿を予約するときに鵜飼プランを選択した場合は、宿のほうから鵜飼事務所に連絡して乗船引き換え券なるものを渡されるようですが、一般観光客が事前に鵜飼観覧だけを予約することはできないそうです。

また宿を通じて予約を入れた場合には、乗船の時間変更など一切受け付けていないとのことなので注意が必要です。

更に、鵜飼船には乗合鵜飼船と宮廷鵜飼船の二種類があり、乗合船のほうは9月は18:30と19:30の二回、宮廷鵜飼船は19:30のみの一回、出船があります。

乗合船18:30出船のチケットは18:00から窓口で購入できますが、19:30出船のチケットは18:30の船が全部出船した後の18:30すぎからじゃないと買えません。ちなみに一人当たりの料金は、乗合船が1800円、宮廷鵜飼船が2100円でした。

乗合船は屋形船の舟底に茣蓙が敷いてあるだけですが、宮廷鵜飼船には幕が掛けられ、おそらく柔らかな布か座布団のようなものが敷かれているようです。

また魯を漕ぐ人も違っていて、乗合船は組合の法被を着た船頭さんですが、宮廷鵜飼船の漕ぎ手は昔ながらの宮廷官吏の衣装を身につけた船頭さんで、なんとなく高級感を味わえそう。でも違いはその程度で、別段食事が用意されているとか、鵜飼が見易い特別の場所に案内されるとか、そういう違いは一切ありません。

私たちは鵜飼を、対岸から望遠で狙い撮りすることを考えていましたので、比較的明るいだろうと予測した18:30出船の乗合船を諦め19:30出船の乗合船を選びました。そしてチケットを購入したら、鵜飼の様子を望遠で狙って、、と考えていたのですが、出船時間の18:30を回る頃には辺りはもうかなり暗くなっていて目論見は崩れ去ってしまいました。

更に、出船時刻の15分前、つまり19:15までに船着き場に戻って来ればいいというので、それまでに晩ごはんを食べようと嵐山駅を目指して行きました。

ところが渡月橋近辺の定食屋さんは大方閉店しており、まだ営業していそうな店も18:30にラストオーダーが終わっていて、結局のところ晩ごはんにはありつけませんでした。幸い嵐山駅前のコンビニが開いていたので、おにぎりを買って食べましたが、この時間の感覚にはなかなか慣れません。

ちなみにこの嵐山鵜飼では、チケット販売開始の18:00頃から、鵜匠さんが鵜に縄を掛ける光景を目近に見ることができます。

宇治川の鵜飼は行ったことがないので分かりませんが、長良川鵜飼ではそういう光景を見られるのは運のいい、ごく限られた人たちだけでしたから、なかなか見堪えがありました。

息子が、これが見れないと、ここまで来た甲斐が6割近くなくなる、、と言っていたのも頷けました。。

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鵜匠が鵜に手際よく縄をかけていく

19:30出船後、川の中ほどまで進んだ時点で船頭さんがそれぞれ、自分の舟と隣接する舟を舫で繋ぎ、連なって上流へ。その間に、篝火を焚いた鵜舟が鵜を川面に放して鵜飼の始まりです。

この日の鵜舟は二艘でした。その二艘の鵜舟がトントントン、舟の側面を叩きながら鵜匠さんが鵜を操り魚を探します。。

鵜が頭を水面に突っ込んだ、と思ったら水魚を咥えているといった風情、すぐさま鵜匠が鵜を引き上げて魚を吐かせて、、といった光景が展開されます。

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篝火の下、鵜舟は進む

見ていて、長良川の鵜飼とはかなり趣きが異なるのに驚きました。

既に長良川も嵐山でも、鵜飼は生計を立てる手段というよりはむしろ観光資源としての位置づけになっているようです。その意味からすれば、嵐山鵜飼のほうが遥かに観光資源としての位置付けを明確に打ち出していると思いました。

鵜匠さんも船頭さんも一様に、観覧客に対して今何をしているのか、鵜がどんな状態なのかといったことを細かく説明してくれるのです。

しかも、長良川鵜飼では鵜舟は、鵜飼観覧船の側を往きと帰りの二回、内側外側一回ずつ通過するだけでしたが、嵐山鵜飼では時間の許す限り、また鵜の体調の許す限り何度も往復して、観覧客の目を楽しませてくれました。

より伝統に近い鵜飼が見たいなら長良川、気軽に鵜飼を楽しみたいなら嵐山、という風に考えてもいいかもしれません。

ただ鵜飼観覧船の乗客の殆どが外国人観光客、という事実は、単にここが京都だからという理由に依らず、こうしたお客をいかに楽しませるかという心遣いの違いから来ているのかもしれません。