つみほ スレスレなるままに

現実と非現実の境目をふらふらと往き来するかのような日常の記録

布巾を貸してもらえますか

割と背が高くメガネをかけた、歳のころ20台後半か30台前半くらいの若い男性が、私の席の横を行ったり来たり。ごはんのお代わりをするでもなく、ただ往き来するだけってのは明らかに行動としておかしい。

さっきから何やってんだ?この人??

 

やにわに今度は右方から、何ごとかボソボソと若い女性の声が聞こえる。どうやら先ほどの男性には女性の連れがいるらしい。

 

おもむろに男性が、給仕口の店員さんに声をかけた。

布巾を貸してもらえますか?味噌汁をこぼしてしまって。。。

 

家族で食事に来て、小さい子が味噌汁をこぼしちゃったのかなと思って辺りを見回してみたがそれらしい家族づれの姿はない。どうやらカップルで食事に来てメニューを注文→女性のメニューが先にきて男性が頼んだメニューを待っているうちに、何かの弾みで味噌汁がこぼれた、、という状況のようだ。

お椀ごとひっくり返して、大変なことになってしまったのだろう。

 

生憎その店には布巾の常備はなかったようで、男性はティッシュだかキッチンペーパーだかの塊を受け取って席に戻っていった。

 

二人は私の席の右隣、と言っても衝立を挟んだ向こう側の広々とした席に男性が私に背を向ける格好で向かい合わせに座っていた。つまり、こちらからは女性の姿がみえる。

男性の纏っている雰囲気が桃李に似た感じの優しげなイケメン風だったので、じゃあその相手の女性はどんな??

ちょっと気になって、見るともなしにチラ見をしてしまいました。

 

綺麗なひとだな。。

現代風のというと語弊があるかもしれないが、本当にイマ風の綺麗な女性。でもツンとおすましという感じはなく、綺麗なんだけど可愛らしい感じ。。伝わりますかね(汗)。

 

私には日ごろ女性を見たとき、自分の好みかどうかで評点つけるようなところがある。つまり誰が何と言おうと、100人中99人までが同じ悪評価をつけたとしても、残り1人となった私の好みだったら、その人は綺麗なのだ!!

ただ今回のこの女性は、正直のところ私の好みではなかった。

にも関わらず純粋に、なんの気負いもしがらみもなく、綺麗な人だな、と思った。雰囲気が柔らかで、守ってあげたくなる感じ??うーん、言葉で説明するのは難しいなあ。

 

話を戻そう

なんでこんなことに・・・いったい何が起きたのよ、と女性の呟く小さい声が延々とつづく。

店員から渡された何かのペーパーは大量に消費したものの、ほどなくしてなんとか無事に収まったようだ見れば、おそらく女性に配膳されたメニューのお膳であったろうお盆は、大量の汚れたペーパーで埋め尽くされている。

様子を見に来た店員に「これ下げてください」と男性が頼み、わかりましたと言って店員がさげていった。

 

汚れ物がなくなりテーブルの上がスッキリして、男性ってば「大変だったね、でももう大丈夫」なんて、にこやかに微笑みかけてオーラ全開だけどさ、、

男性が頼んだメニューはまだ来ておらず、一方の女性の前には、お膳を失った料理の小鉢やらお茶碗やらがテーブルの上に直接置かれている情況(うわあ)。。

お膳は汚れ物と一緒に持って行かれちゃったし、味噌汁はお椀ごと、これまた回収されちゃったからね、、なんかすごく淋しい食卓の呈。

さらに女性ってば、気恥ずかしさからか視線合わせないし先に食べ出してるし。。。

せっかくのお食事会?でも終わってるよこりゃ、、って雰囲気が半端ない(ブワッと大汗)。。

女性の気持ちは定かじゃないけど敢えて代弁するとしたら、なんでまだ(男性のぶんの)料理来ないのよ、間が持たないじゃない、、って感じだろうか。。

二人とは関係のない、ただの傍観者に過ぎない私でさえうわぁああぁ、な状況ですから、当事者のお二人は。。

 

とそこへ、店員がようやく男性のぶんの料理を持ってきました。

当然と言えば当然のことながら男性の前に置かれた料理はお膳の上に整然と並べられていてキラキラ輝いてるし。。

ああ、終わったな

 

そう感じた矢先、、「これ、お味噌汁どうぞ」、、そう言って店員が新しい味噌汁を女性の前に置いた。

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塗椀に入ったみそ汁のイメージ

一瞬の驚きのあと、女性の表情がパアッと明るくなった!!

ありがとうございます、と男性。。いえいえ、と店員。。

 

店員が去ったあと、女性が男性に微笑みかけて、

やさしい〜❤️、、って!!

本当、めっちゃ嬉しかったんだろうね。

それまでの終わった感を、見事に払拭して後味のなんと素晴らしいこと!!

 

すごいぜ、やよい軒!!