つみほ スレスレなるままに

現実と非現実の境目をふらふらと往き来するかのような日常の記録

秘境シワガラの滝〜難所を乗り越えた先にある絶景

シワガラの滝に繋がる山道への入り口は、3台ほどのクルマが駐車できるちょっとした駐車場のすぐ横手にあります。入り口だけを見ると、そこからシワガラの滝まで幾多の苦難(難所)が待ち受けてるようには見えません。小さな虫たちがウツボカズラの花(葉?)の表面を歩いているときってこんな感じなのかな、と後から思えばそう感じてしまう私がいます。

クルマを駐める頃にはもう陽はずいぶんと西に傾き、日没が近いことが素人目にも分かります。

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駐車場に着いた時には陽は大きく西に傾いていた

取るものもとりあえず手短に支度を整え、カメラバッグと三脚を抱えて山に入りました。

入り口から途中まではひたすら登りです。

急勾配ということはないのですが、土道の上に濡れた葉っぱが乗っているので踏み出す足がズルッズルッと滑って効率悪いことこの上ない。沢渡りを想定して長ぐつを履いているのが事態を更に悪化させてる感じです。

 

若い息子はサッサと小気味好く登っていき、ヒィヒィ、ハァハァ、息が上がってゆっくり登る私が追いつくまで辺りを写真に収めていたりします。全く、いい気なものです。。。

ひとしきり登ると、今度は下り。下りというより平坦に近いかもしれません。森や林やという感じの登りから視界が開けて、低木や草むらという感じの平原道を進みます。

途中に「たたら場跡」という場所がありますが、どこらへんがたたら場だったのか分別できるくらいハッキリとした跡地は見つけられませんでした。

たたら場というのは鍛冶場のこと。

鉄鉱石を溶錬して刀などを作る場所、、だったはずですが、どうだったかな(笑)。

草原というより草むらの方がしっくり来る場所を通り過ぎると、再び樹々が生い茂った場所に入ります。

ここからは登ったり下ったりですが、ひたすら登り下りという感じはありません。代わりに数カ所、難所があります。ここは、両手が塞がっていたら通れません。片手塞がりでも、ちょっとツライかな。

私たちのカメラバッグはリュックタイプで両手が使える状態なので、難所には違いないですがさほどの苦難には陥りませんでした。

おそらく、山人(やまんと=山の管理人ともいうべき人)の人たちが設置してくださったのだろうと思いますが、急な山坂道や足場の悪い道すじに手綱やロープが張ってあり、足に自信がない人でも踏破できるように工夫されていました。

どのロープを、どんな風に使ったらいいのか、息子は少々戸惑っていましたが、私はキホンそうしたものには頼らず、木の根っことか岩肌の出っ張りとかそういう、もともとからそこにある物を頼りに移動する癖があります。

 これはずっと昔、若い頃の苦い経験から来ていまして、ある日その場に設置されていたロープを頼りに崖を下りていたら、誰かがイタズラしていたんでしょうか、ロープが切れて滑落しました。

幸い途中の細い小枝に手掛かりを得て擦り傷だけで済んだのですが、その時思ったのはどんなに丈夫そうに見える太いロープより自然の、地面から生えている細い枝のほうが最後の最後には命綱になり得る、、ということでした。

山人さんが設置してくれたロープも、結局は木の根っこに結わえているわけですし、そうでないものも金属製の太いペグみたいなものを山の斜面に打ち込んで張っているわけで、つまりは自然の力を借りてる、だったらより安心できる自然の力を直接借りるほうがいい、という考えです。

もっとも、そうした自然物を見てそれをどう使えば体を支えられるか判断するのは難しいのでパッと見て分かる形にしてあるロープはやはり登山する人には優しい配慮ですよね。

 息子には簡単にロープの使い方と斜面の下り方を説明しましたが、理解したのかどうか、お終いのほうは飛び降りていました(苦笑)。

足場めちゃ悪いのに、、、若さは時に怖いです。

自分自身に重ね、亡父も私に同じような怖さを感じてたのかな、、とふと思いました(汗)。

 

難所を過ぎると沢に出ました。ここからは渓流沿いに沢登りをします。

前日までの雨で増水してるかなと懸念していたのですが、思ったほど水量はなく、途中までは河岸の丸石の上を進みました。

そこから先は、浅瀬に入ってソロリソロリ歩いたり大きな岩や倒木を乗り越えたりしながら進みました。

やにわに息子が、やった!着いた!、、というので前方を見ましたが、

えっ?これ??

たしかに滝ではあるけど、この滝を見るためにこれだけの苦労をしたの?

っていうくらい、どこにでもある小滝じゃん?!

怪訝な顔をして息子を見ると、息子は更に危なそうな大岩に取り付いて登り始めるところでした。

この奥にあるんだよ。。

 

そうなんです、シワガラの滝は洞窟滝で岩屋の中に滝壺ならぬ洞があり、そこに落水している珍しい滝なんです。滝の落水音は始終聴こえていたのに滝の姿が見えなかったのは、そういう訳だったんですね。