つみほ スレスレなるままに

現実と非現実の境目をふらふらと往き来するかのような日常の記録

シワガラの滝は言葉にならない美しさ〜でも、、旅を楽しむコツは決して無理をしないこと

大きな岩を登ると、壁としか思えない巨岩に囲まれた洞窟が見えました。
滝音はその洞窟の中から聞こえて来ます。

 

息子は、勝手知ったるなんとやらでサッサと中に入っていきますが、いちおう滝壺に当たる場所だけに辺りは大きな水たまりになっているので、長ぐつを履いているとは言え深みにはまれば水浸しなわけで、私は慎重に歩を進めました。

どこに滝が??、、、あ、あった!!

これは凄い。

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シワガラの滝は洞窟内に落水する秘境の滝だった

洞窟滝とは聞いていたのですが、具体的にどんなものなのかは聞いていなかったので、イメージも湧かなかった。

ただなんとなく、滝の落水源は見えず洞窟の暗がりの中に滝水が落水している、、、そんなイメージを漠然と抱いていました。

でも実際のシワガラの滝はそんな中途半端な滝ではなく、滝壺が洞窟内にあり、そこを目掛けて豪快に落水する滝でした。明るい外界から昏い洞窟内に落水する滝なので、とても写真が撮りにくい滝でもありました。

私の腕(スキル)では、人にこの感動を伝えられるような写真は撮れないだろうと思っていますが、雰囲気だけでも伝わると嬉しいです。

 

息子はいろいろ設定を変えて撮影していました。

満足のいく写真が撮れなかったようで、ふと辺りの暗みに気づいた私が山を下りる時間帯になったことを告げても、なかなか重い腰を上げようとしません。

日没まであと10分だからこれ以上は無理、、、というギリギリまで粘り、大急ぎで片付けて洞窟を出ました。

 

私の一番の心配事は、日没後の暗がりの中を沢下りする危険でした。ただでさえ足場が悪く地の利もない場所を暗闇の中で移動するのは、愚挙以外の何ものでもありません。

来る時に難所だった箇所ももう形振り構ってはいられないので、私独自の踏破法(笑)を伝授して乗り越えて平原に出ました。

陽はもう殆ど地平線の山の稜線に沈み、夕暮れから黄昏時の空の色を呈していました。

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たたら場跡近くの平原から落日を臨む

これを息子が見逃す訳もなく。。。

流石に三脚は使わず手持ちですが何枚か、、いや十数枚ほど撮影したようです。
そんなことしてる場合じゃないのに(大汗)。。

大方の予想通り、平原から樹々の生い茂る森の道に入る頃には、辺りは真っ暗闇。
もう本当に真っ暗で、自分の手足ですら見えません。

 

かなり以前、社会人になりたての頃にパワースポット巡りが楽しくて学生時代からの友人と某パワースポットを訪れたときのこと。忘却の洞窟、、とも呼ばれる人工構造物があって、自由に入れるというので入ったことがあります。

入り口から5メートルもいかないうちに真っ暗になり、声だけが自分と友人の存在を辛うじて認識する手段になりました。黙ってしまうとそこはもう奈落の底、辺りは漆黒の闇。。そのうち自分が立っているのか、座っているのか、逆さになっているのかさえ分からなくなりました。

 

今このとき、正にそんな感じが辺りに満ちていました。
上を見て空を探すのですが、本当に見上げているのかさえ分からない。空が見えないのです。

息子がスマホを取り出してフラッシュライトを点灯しましたが、手元が明るくなるだけで森の道を不便なく歩くには光量が足りない。
ここに来て漸く息子も自分の愚挙に気付いたようで、半泣きアワワ状態になっていました。

まあこうなってしまっては下手に動かず、夜が明けるのを待つのが得策なんですよ、ふつうはね。

でも結論を言えば、私たちはこの最悪の事態をなんとか乗り越えて無事に山の森を抜け、駐車場に辿り着いて奇跡の生還を果たしました!!

 

それを可能にしたのは、、実はただの偶然です(笑)。
私の機転でも想像力でも、また山に入るときには欠かせない装備の事前準備でもありません。

私のカメラバッグは、まあごく普通のリュックなんですよ。少しばかり構造が変わっていて、カメラの取り回しや出し入れがラクなので普段使いにしているんですが、実は通勤時ももちろんこのリュックです。

真っ暗闇の中、バッテリー切れ掛けのスマホを片手に途方に暮れかけていた息子を後目に、私には、もしかしたら、、という可能性を考える余裕がありました。

それは私が雨の日以外、自転車通勤をしていることに関係があります。

 

私の自転車のライトは電池式でハンドルに取り付けるタイプなのですが、盗難防止用に普段は取り外してカバンに入れています。ところがカバンを替えたときにライトを入れ替えるのを忘れることが多いんです。行きは明るくてライトを取り付ける必要がないので、仕事帰りにライトが無いことに気づいて慌てる、、ということが度々起きていました。

そこで、そんなときにでも慌てなくて済むように、自転車のライトではないのですが全部のカバンに一つずつ小型の懐中電灯を入れるようになりました。自転車に取り付けることはできなくても、手で持って乗れば応急措置にはなるからです。

その日のカメラバッグ(リュック)は新しいめの物だったので、普段使い的にはまだ懐中電灯を入れてなかったと思うのですが、前日の晩、伯雲亭から晩ごはんを食べに湯村の街に出かけるときに、暗がりを想定してそのリュックにそっと懐中電灯を忍ばせたような気がしたんです。

要らないかもしれないけど、どうせ自転車に乗るときには入れることになるんだし、まあ入れといてもいいかぁ~みたいなノリで、、、(笑)。

そのことに思い当たり、念のためにとリュックの中を探ってみたら大当たり!!

 九死に一生を得たのでした。